My小金井「今月のスポットライト」 第37回

★町の本格的なテープ録音工場 ヤブキ録音工房

レコードとテープで音楽を聴いて育った世代には、アナログの音は懐かしい響きです。その音を現在も作り出して再生させている工場が小金井にあります。


■中央沿線唯一のテープ録音工場
武蔵小金井駅南口から小金井街道沿いに歩き、農工大通りへ左折してすぐのところにヤブキ録音工房はあります。

語学学習のテープや店頭で流れる商売用のテープ、そして音楽テープなどの制作をしているのがここヤブキ録音工房です。

階段を下りると暗いので、少し不安に感じる人もいるかもしれません。でも、どことなく60’sにタイムスリップしていきそうな雰囲気を身にまとっているドアは、あの懐かしい昭和に戻れそうな気分にさせてくれます。

工房の社長矢吹さんは平成5年に会社を始めました。もともとは、大手フィルムメーカーで磁気材料を扱っていましたが、その後会社が、テープ録音会社を吸収合併してからは、テープ業界に40年以上携わっているベテラン技術者でもあります。

矢吹社長とともに、この工房の一翼を担っているのが坂本さんです。スタジオ録音の編集では、その技術力の高さに定評があります。インターネットなども活用して、地道な営業もしているベテラン職人です。

工房には、他に社員が2名アルバイトが3名います。それぞれが技術を持ち、この仕事を好きでやっている様子がその仕事振りから窺いしることができます。

圧倒的に男性が多い職場ですが、皆さん気持ちのやさしい方ばかりです。取材のこの時も、専門的なことをひとつひとつ丁寧に説明してくれました。

では、制作現場へさっそくご案内しましょう。中央沿線唯一のテープ録音工場は、こんな具合になっています。


階段で地下へ
「10」って何だろう?
人間が大地に2本の足で立っているのは、10本の指があるから立っている。人間はそれだけのものだが、欲が出るとこれで分という気持ちを忘れてしまう。常に空から見守られていることを忘れずに、感謝の念を心に持ち続けたいものだが、テンでダメだなぁ(社長談)、という落ちまでついたお話でした。


地下には温かい製作現場があります!


矢吹社長と坂本さん(右)
■テープの録音製造過程


プロのナレーターが原稿を読みます


ミキサー室での坂本さん


こうした機材がそろっているスタジオは貴重です


教材用テープのダビング作業


マスターテープをセット


高速デュプリケーションシステム


ダビングされた音のチェック


テクニカルシートに記入して、録音状態を記録




自動化された機械で1本ずつのカセットに

取材当日は、CMテープの収録がありました。原稿内容によってはナレーターは男性になったり女性になったりします。さまざまなリクエストに応じられるように、プロのナレーターを数名そろえています。声のサンプルテープもあるので、事前にチェックできます。

原稿の読み方やイントネーションの確認を行って本番に臨みます。400字詰め原稿用紙2枚ほどの長さを目安に、約3分間読み上げます。録音の際には、立ち合うことができ、この日も依頼者がスタジオで見守っていました。

ガラス窓の向こうの部屋で、ナレーターがマイクに向かって話しだすと、ミキサールームでは、坂本さんがレバーを操作します。ここで録音した音は、坂本さんの編集作業が加わって、1本のマスターテープになります。

ナレーターの声だけのテープもあれば、BGMをつけるものもあります。お客様の満足のいくようなテープを作り上げていくのは、編集の技術です。

商業用の店頭テープから、記念日に流すテープ、あるいは定刻時間を知らせるようなテープ作りまで、その内容は多種多様です。

「時間がかかった」と作業を終えた坂本さんは言っていましたが、それでもわずか数時間でテープまで完成させてしまいます。

このスタジオでの収録のほかに、別の部屋では、語学学習用の教材テープのリプリント(ダビング)作業とカセットへの巻き作業が行われていました。

作業をしていたのは、口数の少ない青年でしたが、質問すると丁寧に答えてくれました。人の心をまあるくするようなものをもっている不思議な存在感のある人です。こちらの要求をさっと汲み取って対応してくれる頭の回転の速さにも感心します。

この青年は、リプリント後の音のチェックもしているのですが、矢吹社長の話では、「耳がいい」とのこと。雑音や微妙な出力バランスを聞き逃さない感覚を備えているのでしょう。

世界を代表する技術を持っているプレス職人も、自分の感覚でナノ単位の定規をひきだすといわれていますが、人間の五感というのは、すばらしい道具だと改めて感じます。

さて、リプリント用マスターテープは、大きな縦型の機器にセットされました。

アナログのテープは音の録音されていない部分をヘッドで感知して、1本の長さを調整できるようになっています。マスターテープをセットした機器の横で耳を澄ますと、途中でふっと音が途切れる箇所があります。そこが、テープの切れ目になります。

説明を受けながら、「ヘッド」という言葉で、中学生の自分が浮かんできました。綿棒にクリーナー液をつけては、カセットテープレコーダーの「ヘッド」を掃除していたことを思い出しました。そういえば、あのクリーナー液はどこにしまったのだろうか、などと回想にふけっている間に、リプリントされたテープは出来上がってきます。

大量のテープをこなすときは、システムが3ラインあるので、文字通りそれをフルに回転させます。(高速デュプリケーティングシステム )

次に、マスターテープからリプリントされたテープの、音の状態のチェックです。左右の音量・音質はどうか、などを機械のレベルを目で確認し、人間の耳で聞いて確認していきます。

音のチェックを終えると、規定のダンボールの箱にテープを収めます。その時に、どういう内容のテープで、どういう状態で録音したのかをテクニカルシートという表に記入して、最終作業者へ渡します。

最終作業は、市販される1本のテープにしていくことです。これもヘッドが音を捉えて、無音となっている合間の場所を感知して、自動的にテープを切断していきます。

すべてのテープの出だしは何秒間か音のない間がありますが、昔は手動で透明のテープをつけるスプライシングという作業を行っていました。

現在では、すべて自動化されていますが、ヤブキ録音工房では、この手動の機械を丁寧に手入れしています。それは、手動でなければ修理できないテープなどがあるからです。

つい先ごろも、保存状態のよくないテープの修理を依頼され、この機械を使って見事にしあげました。今回は矢吹社長が、特別にその機械操作まで披露してくれました。(下欄写真)

手作業で1本ずつのカセットにテープを収める作業
巻きの速さをセットしておくと、音の谷間にくると回転が落ちるようになっている
マスキングしてテープを巻く
ちょっとしたトラブルには
ピンセットが役に立つ
茶色のテープと透明テープを
重ね合わせ上からプレスしてカット

■生きている音のあたたかさ

手動の機械を使って修復したテープは、今までにたくさんありますが、最近では、亡くなった肉親の声のテープを修復してほしいという依頼があったそうです。

録音状態は悪く、かなり古いものでしたから、保存状態もいいとはいえないものでしたが、苦労して復元したところ、依頼者は大喜びで涙を流して喜ばれたそうです。

お客様の喜びの声が直接伝わるときは、非常にうれしいものだと、矢吹社長は言います。

他にも、アナログテープだから、修理できた例も数多くあるようです。いまでこそCDコンポ搭載車も多くなっていますが、その昔は車のカセットデッキにテープを長い間放置しておいて、テープが絡まってぐちゃぐちゃになることもよくありました。

こういう例は最近でもあるそうで、お気に入りの曲のテープを壊してしまって、インターネットで検索して『My小金井』のページをみてここに駆け込んでくる方もいます。

誠心誠意の対応を常にしているヤブキ録音工房では、過去に作り上げた作品のラベルを宝物として保存しています。

また音楽テープを作ったお客様のライブには、ほとんど足を運んでいるそうです。80年代に活躍した西岡恭三さんのテープもあり、一つ一つの作品に数え切れない思い出があるようです。

現在はほとんどの音がデジタル化されています。そのデジタルのきれいな音のよさは、誰もが認めるところですが、アナログのどこか埃っぽい音の響きは、私たちに体温と同じ親しみやすさと安心感を与えてくれるような気がします。

デジタル音が主流の現代でも、アナログ音が見直され、若者がLPレコードを探し求めて聞いているという理由のなかには、そんな人間くさい魅力が再発見されてきているからかもしれません。

そんな音作りに魅せられた人がこの工房には集まっています。

 




”西岡恭三とぶん”の『Paradice Cafe』




誰が書いたかわからない部屋の入り口の看板
決して上手いとはいえない手書き文字にも
人肌のあったかさを感じます



矢吹社長の席の壁には”感謝の
気持ち”を額に入れて飾ってます




今までの作品のラベルを保管
”宝物”と呼んでいます



1986年当時は斬新なパッケージデザインだった
絵葉書までついている

ヤブキ録音工房さんからプレゼントのお知らせ☆

店頭用CMテープ、店内放送用、車上宣伝テープ(18,000円相当)を
あなたの声で制作します。1名様にプレゼントします。

応募はこちらから(応募締切3月6日(日))

※今回のプレゼントは、お店で流すテープや、セールなどの効果音テープなどの制作ですので、個人的なテープの制作はご遠慮ください。 当選者の方には、地域ポータルサイト推進協会からご連絡を差し上げます。 制作の詳細はヤブキ録音工房さんと打ち合わせをします。

ヤブキ録音工房


【住 所】 小金井市本町1-9-5
      スカイラーク小金井B1
【T E L】 042-386-3545
【F A X】 042-385-4067

【定休日】 日曜日、祝日

【営業時間】  9:00〜17:00(平日)
         9:00〜15:00 (土)

【交 通】
武蔵小金井駅北口より
徒歩2分




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written by cherry

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尚、ご連絡戴いたお店、全てを掲載することはできませんので、あらかじめご了承ください。

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